カラフルメモリーズ #06

カラフルメモリーズ #06 ~ 恋は爆裂パンクラッシュ! ~

 

【『まつかぜ』安中店 開店前のホールにて】

菜々花「お客様申し訳ございません、まだ開店前ですので…。って、お客様!? 困ります勝手に入られちゃ…むぎゅう!?」
夏美「どうしたの菜々ちゃん!? 大丈夫!?」
???「やっほー、ナツ、須藤♪ 元気にしてたー?」
夏美「ご、ご、後白河さん(焦)!?」
店長(須藤)「後白河…お前はまた突然だな…。桐原、こいつは『まつかぜ』藤岡店店長の、後白河レイカだ」
後白河「ちなみに35歳、ムスメ2人のシングルマザーよんv よっろしくー」
菜々花「あ、そーいえば聞いたことある…。『まつかぜ』がまだ小さな町の食堂だった頃の、1号店だったこの安中店の初期メンバーが、今の『まつかぜ』社長、エリアマネージャーの新井さん、うちの店長、夏美さん、それに藤岡店の女店長さんの5人だったって」
後白河「そーそ。その女店長ってのがア・タ・シv 新井、須藤、アタシの3人は同い年で、当時すでに社員だったんだけどねー。高校生バイトでここまで残ったのは、結局ナツだけだったわねー」
夏美「いつまでも高校生扱いしないでください!」
後白河「ところでアンタたち、今でもラブラブなわけ……もがっ!?」
夏美(やっ、やめてください菜々ちゃんの前で…。店のみんなには内緒にしてるんですから…)
後白河「フーン…(ニヤニヤ)。…あっ! そーいえば店の駐車場に、こ――んなでっかいゴミが落ちてた! もうすぐ開店時刻じゃん? 大丈夫なの、あれー?」
菜々花「えぇっ、ほんとですか(大焦)!? おっかしいなぁさっき掃除してきたのに。チリトリに入りきるかな、台車持ってったほうが…(ガラガラ…)」
後白河「あの子可愛いねー、バカっぽくて」
夏美「いい加減にしてくださいっ! 用件は何ですか?」
後白河「そーそー、実は須藤に用があってさ。こないだ電話で話した件だけど。新メニューの、新聞の折込チラシ用の写真撮影するのに、アンタらの店忙しくて無理そうだからウチの店使うことになってさ。やっぱ売り上げトップの1号店サマへの待遇は違うわねー♪ で、撮影時の店のレイアウトのこととか相談に来たってワケ。なんかアドバイスあるー?」
店長「あぁそれなら、以前のボツ写真が大量にバックヤードに…」
夏美(んもう、後白河さんったら、須藤さんにあんなにベタベタして…)

****** 夏美の5年前の記憶 『まつかぜ』本社ビルにて ******

後白河「やっほー、ナツ! 久しぶりじゃん、アタシが店長として藤岡店に移って以来だねー」
夏美「あっ、後白河さん…」
後白河「アンタが本部に来るなんて珍しいね。なるほど、新人チーフ研修かー。アタシは飛び級だったから、チーフは経験してないけどね。で、うまくやってんの?」
夏美「…うっ、ぐすっ…」
後白河「…なに。アンタ、泣いてるワケ?」
男性社員A「見ろよ、あれが噂の『歴代初女性チーフ』だってよ」
男性社員B「あの子が!? まだ高校生みてぇな顔してんじゃん」
男性社員A「実際バイト上がりで、高卒で即チーフに抜擢されたらしーぜ。なんでも、同じ店の店長と付き合ってるとか…」
男性社員B「うぇっ、マジで!? 上司に取り入って出世かよ。女って怖ぇよな、あんな虫も殺せねーような顔して、裏じゃどんだけしたたかなんだよ…」
後白河「………」
夏美「ぐすん、ひっく…」
後白河(バン!)
男性社員A(な、なんだこの女性(ひと)…。いきなりヒールで思いっきり壁蹴って…)
男性社員B(で、でもメッチャ美人だぜ!?)
後白河「……アンタらさぁ、先月安中店でチンピラが騒ぎ起こしたの知ってる?」
男性社員A「あぁ、たしか、偶然客として居合わせた抗争中の組同士の下っ端が、いちゃもん付け合って暴れたって話だよな」
男性社員B「お客さんたちに怪我はなかったから、一安心ってことだったけど…」
後白河「あの時、従業員でただ一人ホールに飛び出してって、お客さん護りながら全員無事に店の外へ誘導したのが、当時まだバイトだったこの子」
男性社員A・B「ま、マジですか(大焦)!? 社員何してたんだよ!?」
夏美「あ、あの時はただ夢中で…。須藤さんは110番してたところだったし、一刻を争うかと思って…」
後白河「果たしてアンタらに、同じことができるのかしらねぇ?」
男性社員A「うぅっ…」
男性社員B「おい、もう行こうぜ…」
後白河「……ねぇ、ナツ。たしかに世の中には、ヤ○ザよりも恐ろしいものっていっぱいあるよね」
夏美「…?」
後白河「人の陰口、妬み、恨み…。会社で役職を背負うってのは、ああいう謂われのない罵詈雑言とも闘ってかなきゃならないってコト。女であるアタシらは、特にね。男女雇用機会均等とかいったって、所詮この業界は、まだまだ男の世界だから。店舗によっては女を厨房に入らせないとこだってあるし…」
夏美「………」
後白河「だから、アタシらで変えてやんのよ! この先入ってくる可愛い後輩たちが、楽しく快適に現場で仕事できるよーに。アタシらが『道』になんの」
夏美「道……」
後白河「わかるよね、アンタなら…。んじゃ、そろそろ行くわねー。あ、須藤にもヨロシク言っといてよね」
夏美「………」
後白河「いい、ナツ。『男が廃る』なんてよく言うけど、アタシに言わせりゃ男なんてとっくの昔に廃れてんの! あとは女が廃れないかどーかにかかってんだからね!」
夏美「ぷっ。なんですかそれ、変なの!」
後白河(やっと笑ったね。フフッ…)

****** 夏美の記憶 終了 ******

店長「これで写真は全部だな。開店前に見つかってよかった」
後白河「サンキュー須藤♪ 今度メシでもおごるわ。それともいっそ、この美しいアタシを食べちゃうー? んー?(チラリ。ニヤニヤ)」
夏美(まだまだ適わない、今の私じゃ。だけど…)
菜々花「うわぁぁんっ、夏美さーん(泣)! ゴミなんかどこにも見当たらないから後白河さんに聞いたら、『騙されてやんの! バァーカ、バァーカ!』って…」
夏美「菜々ちゃんっ!(ガシッ!)」
菜々花「はいっ!?(夏美さん、いつもと形相が違う!?)」
夏美「私……絶っ対に負けないわよ」
菜々花「よ、よくわからないですけど…私も負けませんっ! 押忍!(キラーン☆)…って…ま、またあの人来た…(怯)」
後白河「ねーねーナツーv この菜々ちゃんって子面白いから、ウチの店に引き抜いてってもいーい?」
店長・夏美・菜々花「もう帰れ(泣)!!」

〈END〉

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