カラフルメモリーズ #08

カラフルメモリーズ #08 ~ 恋は爆裂パンクラッシュ! ~

 

【『まつかぜ』安中店 開店前の厨房にて】

菜々花「皆さん聞いてくださいっ! 今朝友達からメールがあったんですけど、ゆうべ、安中駅近くの24時間営業の牛丼屋に強盗が入ったらしいんです!」
マサキ「強盗っ(焦)!? マジかよ、オレらも遅番の後よく食いに行ってるとこじゃん」
夏美「言われてみれば、今朝はやけに国道沿いにパトカーを見かけると思ったのよね…。それで、犯人は逮捕されたの?」
菜々花「まだみたいです。なんだか『出張強盗』とかって全国を渡り歩いてるプロの集団らしくて、もう県内にはいないんじゃないかって。メールくれた友達、2軒隣のコンビニで働いてて、事情聴取されたり防犯カメラの映像提出したり大変だったみたいです~。うぅ…」
夏美「ここにも警察が見回りに来るかも知れないわね。それにしても、まさかこんな近所でなんて、物騒ねぇ」
マサキ「ってかうちの会社、明日から全店舗あげての社員旅行じゃないスか。臨時休業のチラシも入れてるし、まさか空き巣が入り込むとかないッスよね?」
夏美「あぁ、それは大丈夫だと思うわ。そうだ、2人にはうっかり説明しそびれてたわね…。5年くらい前に、この店のホールでお客様同士の大きなケンカがあってね。それ以降、全店舗にセキュリティシステムが導入されて、営業時間外に侵入者を感知すると警備会社と警察に自動的に通報されるようになってるの。ほら見て、風除室の天井」
菜々花「ほんとだカメラ付いてる! 小さすぎて気づかなかった」
夏美「バックヤード側の通用口にも付いてるのよ。それと、タイムレコーダーの側面のボタン、あれも押すだけで通報できるから、非常時のために覚えておいてね」
菜々花「はーいっ! あーよかった、これで安心して旅行に行けるね♪」
マサキ「おい、まだ今日一日あるんだからはしゃぎすぎるなよ?」
夏美「うふふ…。私も念には念を入れて戸締り確認していくようにするわね」

****** 2日後 箱根の温泉旅館の宴会場 ******

『まつかぜ』社長「えーそれでは、社員の皆様のますますのご発展を願いまして……乾杯!」
社員一同「カンパ――――イ!!」
菜々花「ぷっはー! お風呂上がりの一杯は最高だねっv オレンジジュースだけど!」
轟さん「おぅ。まさに田舎企業の『大名旅行』だが、これはこれで楽しいもんだ」
菜々花「まぁ、こーゆーお酒の席でこそ人間の本性が見えたりもしますけど。あ、専務、コンパニオンのおねえさん両膝に一人ずつ乗せちゃってる」
マサキ「目を合わせるなよ、オレ忘年会の時巻き込まれて酷い目にあったからな…(遠い目)」
後白河「あっいたいた、須藤、ナツ! ちょっと、アンタらの店大変なことになってるよ! 空き巣が入って警察が出動したみたい」
店長「何だって!?」
後白河「本人は『八百屋だ』って言い張ってるらしーけど、まさかこんな休業日に、あの『八百六』のオッチャンが店になんて入れるわけ…、……ナツー? 顔色悪いけどどーしたのかなー?」
夏美「う、うふふ……(顔面蒼白)」

****** 夏美の2日前の記憶 ******

八百屋店主「まいどー、『八百六』でーす」
夏美「はーい、お世話になりま……あら、社長さん? たしか息子さんにお店を譲られて引退されたはずじゃ…」
八百屋店主「それがよぉ夏ちゃん! あのバカ息子、冬の間は草津でボードのインストラクターのバイトするなんぞ抜かしやがって、店放っぽってのんきに雪山に下宿中よ。どーしようもねぇぜまったく」
夏美「あらあら。まだお若いんですもの、そのうち落ち着かれますよ」
八百屋店主「そんなもんかねー。まぁ俺も、毎日家でごろ寝じゃ身体が鈍ってしょうがねぇ、いっそ現場に復帰でもするか! ガッハッハ!」
夏美「うふふ、その意気ですよ。…ところで明後日の納品なんですけど。うちの会社、ちょうどその日から箱根に2泊3日の社員旅行で。店の裏口の鍵お預けしますので、いつもの分冷蔵庫に届けておいていただけませんか? セキュリティシステムは解除していきますから」
八百屋店主「任しときな。箱根かーうらやましいねぇ、楽しんできなよ。じゃあ、確かに鍵預かったんで。また、どうもー」
夏美「お世話様です、お気をつけてー」
菜々花「皆さん聞いてくださいっ! 安中駅近くの牛丼屋に強盗が…」

****** 夏美の記憶 終了 ******

夏美「(電話口で)ごめんなさいっ、社長さぁぁ~~~ん(泣)!!」
後白河「ちなみに『八百六』のオッチャン、店はオバチャンに任せて、息子さんのいる草津温泉でしばらく心を休めてくるらしーわよーv」

〈END〉

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